2026.04.06
監修者: 代表取締役 山口 元紀
新生活で体調不良が起こるのはなぜ?自律神経の乱れと原因、対策を解説
目次
4月は入学、就職、転職、異動、引っ越しなど、生活環境が大きく変わりやすい時期です。
「なんとなくだるい」「寝ても疲れが取れない」「気分が落ちる」「お腹の調子が悪い」など、新生活が始まってから体調不良を感じる方も少なくありません。
こうした不調は、気のせいではなく、環境変化によるストレスが心身に影響している可能性があります。特に関係が深いのが、自律神経の働きです。
自律神経は、呼吸・心拍・血圧・体温調節・消化・睡眠などを無意識にコントロールしている重要な仕組みです。ストレスが続くとこのバランスが乱れやすくなり、さまざまな体調不良として現れることがあります。
今回は、新生活で体調不良が起こりやすい理由と、自律神経との関係、さらに日常生活で実践しやすい対策について解説します。
新生活で体調不良が起こりやすい理由

新生活では、本人が「前向きな変化」だと思っている出来事であっても、身体にとってはストレスになることがあります。
その理解に役立つのが、Social Readjustment Rating Scale(SRRS)です。
これは、人生の出来事がどの程度ストレスになるかを数値化した指標であり、ライフイベントによる累積的な負荷と健康リスクの関連を示した古典的な研究として知られています。[1]
このスケールでは、
配偶者の死が100でトップで離婚 73、自身の怪我/病気 53、結婚 50などが上位になります。
SRRSでは、春に起こりやすい以下のような出来事も、ストレス要因として扱われています。
・転職 36
・昇進/降格 29
・子供との別居 29
・職場環境の変化 20
・引っ越し 20
・転校/進学 20
・長期休暇 13
・祝日 12
一つひとつは小さく見えても、複数が重なることで心身への負荷は大きくなります。
つまり、新生活の体調不良は「自分が弱いから」ではなく、環境への適応過程で起こる自然な反応の一つとも考えられるのです。[1]
新生活のストレスで起こりやすい体調不良
環境変化によるストレスが蓄積すると、以下のような不調が起こることがあります。
・寝つきが悪い
・夜中や早朝に目が覚める
・疲労感が抜けない
・気分の落ち込み、意欲低下
・不安感、落ち着かなさ
・動悸
・頭痛、めまい
・下痢、便秘、腹痛
・食欲低下、過食
・風邪をひきやすい
これらは、ストレスそのものの影響だけでなく、自律神経・内分泌・免疫系のバランス変化によって生じる可能性があります。
特に睡眠、消化、気分、疲労感は、自律神経の影響を受けやすい領域です。
自律神経の乱れとストレス反応の関係
自律神経には、活動時に優位になる交感神経と、休息や回復に関わる副交感神経があります。
本来は状況に応じてバランスよく切り替わることが理想ですが、ストレスが続くと交感神経優位の状態が長引きやすくなります。
その結果として、身体には次のような変化が見られることがあります。
心拍変動(HRV)の低下
HRVとは、1拍ごとの心拍間隔のゆらぎを示す指標です。
一般的に、HRVが高いほど回復力や柔軟な自律神経調整が働いている状態、低いほどストレス負荷が高い状態の可能性があると考えられています。[2][5]
免疫機能の低下
ストレス状態が続くと、免疫細胞の一つであるNK細胞の活性が低下することが報告されています。[3]
そのため、新生活の時期に「風邪をひきやすい」「なんとなくずっと不調」という状態が続く方もいます。
炎症調整機能の低下
慢性的なストレスでは、コルチゾールが過剰に分泌されるだけでなく、その抗炎症作用がうまく働きにくくなる可能性も指摘されています。[4]
これにより、回復しにくさやだるさ、コンディション不良の長期化につながることがあります。
新生活の体調不良を防ぐために大切なこと
新生活では、「体調を崩してから対処する」のではなく、「崩れやすい時期だと前もって理解しておく」ことが重要です。

特に大切なのは、体調不良の初期サインを見逃さないことです。
例えば、以下のような変化は要注意です。
・睡眠時間は足りているのに疲れが取れない
・以前よりイライラしやすい
・休日も気が休まらない
・胃腸の調子が安定しない
・運動する気力が急に落ちた
こうした小さな変化に早めに気づくことで、不調の長期化を防ぎやすくなります。
新生活の体調不良対策としておすすめの習慣
最近では、スマートウォッチやスマホ、リング型デバイスなどで睡眠やストレス状態を可視化する方も増えています。
ただし、大切なのは「測ること」ではなく、「行動を変えること」です。
おすすめは、以下のように具体的な生活設計へ落とし込むことです。
1. 睡眠時間を先に確保する
「早く寝よう」ではなく、
・何時に仕事を終えるか
・何時に入浴するか
・何時にスマホを見るのをやめるか
まで決めておくことが重要です。
2. 運動を予定化する
「余裕があればやる」では、新生活では後回しになりやすいです。
・毎週何曜日の何時に運動するか
・その時間は予定を入れない
と先に決めておくことで、実行率は大きく変わります。
3. 頑張りすぎる前提で予定を組まない
新生活の時期は、無意識に気を張ってしまう方が多いです。
そのため、最初から100点を目指すより、80点で継続できる生活リズムを作る方が現実的です。
不調が続く場合は、身体の状態を客観的にみることも大切
新生活による体調不良は、休養不足だけでなく、呼吸の浅さ、姿勢の崩れ、運動不足、筋緊張の高まりなど、身体面の要素が重なっていることもあります。
だからこそ、睡眠・食事・休養だけでなく、今の身体の状態に合わせて運動や生活習慣を調整することが大切です。
特に、自律神経の乱れが気になる方ほど、無理な追い込みではなく、呼吸・姿勢・軽い運動から整えるアプローチが有効な場合があります。
まとめ
新生活で体調不良が起こりやすいのは、環境変化によるストレスが自律神経や免疫機能に影響を与えるためです。[1][2][3][4]
寝つきの悪さ、疲労感、気分の落ち込み、胃腸の不調などは、身体からのサインかもしれません。
だからこそ大切なのは、「そのうち慣れるはず」と我慢することではなく、早めに気づき、睡眠・運動・休養を具体的な行動に落とし込むことです。
Dr.トレーニングでは、一人ひとりの身体の状態や生活背景に合わせて、無理なく続けられる運動習慣づくりをサポートしています。
新生活の不調が気になる方、自律神経を整えるために何から始めればよいかわからない方は、ぜひ一度無料カウンセリング・体験トレーニングをご活用ください。
なお、運動効果を高めたい方や自分に合ったトレーニングメニューを詳しく知りたい方は、Dr.トレーニングにご相談ください。
【著者情報】
東田 雄輔
– 資格
・NSCA-CPT(全米エクササイズ&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)
・JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者)
・NASM-PES(全米スポーツ医学協会認定パフォーマンス向上スペシャリスト)
・NASM-GFS (全米スポーツ医学アカデミー認定ゴルフフィットネススペシャリスト)
・IASTM SMART TOOLs
・PRI Postural Respiration 修了
・PRI Pelvis Restoration 修了
・PHI pilates act
https://drtraining.jp/cast/higashida/
[参考文献]
[1] Holmes, Thomas H., and Richard H. Rahe. “The social readjustment rating scale.” Journal of psychosomatic research (1967).
[2] van Ockenburg, Sonja L., et al. “Effects of adverse life events on heart rate variability, cortisol, and C‐reactive protein.” Acta Psychiatrica Scandinavica 131.1 (2015): 40-50.
[3] Thayer, Julian F., et al. “A meta-analysis of heart rate variability and neuroimaging studies: implications for heart rate variability as a marker of stress and health.” Neuroscience & Biobehavioral Reviews 36.2 (2012): 747-756.
[4]Cohen, Sheldon, et al. “Chronic stress, glucocorticoid receptor resistance, inflammation, and disease risk.” Proceedings of the National Academy of Sciences 109.16 (2012): 5995-5999.
[5] Kiecolt-Glaser, Janice K., et al. “Psychosocial modifiers of immunocompetence in medical students.” Biopsychosocial Science and Medicine 46.1 (1984): 7-14.
