2026.07.24
監修者: 代表取締役 山口 元紀
プロテインは内臓に悪い?腎臓・肝臓への影響と摂取量の目安を解説
目次
「プロテインを飲み続けると、腎臓や肝臓に負担がかかるのでは?」
筋トレやダイエットのためにプロテインを取り入れている方から、このようなご質問をいただくことが少なくありません。SNSやインターネット上には「タンパク質の摂りすぎは体に悪い」といった情報も多く出回っており、不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、プロテイン摂取が腎臓・肝臓・消化器に与える影響について、国内外の研究データをもとに詳しく解説します。あわせて、注意が必要なケースや、ご自身に合ったタンパク質摂取量の目安についてもご紹介しますので、プロテインを安心して活用するための参考にしてください。
結論:プロテイン摂取と内臓への影響
まず結論からお伝えします。
・プロテインそのものが体に悪いというわけではないが、タンパク質の過剰摂取は状況によって内臓に負担をかける可能性がある
・腎臓や肝臓に疾患がない場合、タンパク質を多く摂取することで重大な臓器障害が起こるという強いエビデンスは今のところないが、必要量を大幅に超える摂取を長期間続けるメリットは乏しい
この結論をふまえたうえで、まずはタンパク質が体にとってどのような役割を持つのかを確認したうえで、腎臓・肝臓・消化器それぞれへの影響を詳しくみていきましょう。

そもそもタンパク質はなぜ体に必要なのか
タンパク質は、筋肉や皮膚、髪、爪などの材料になるだけでなく、ホルモンや酵素、免疫細胞をつくる材料にもなる、体にとって欠かせない栄養素です。トレーニングによって筋肉に負荷をかけると筋繊維は一時的に傷つきますが、修復・回復する過程でタンパク質が使われ、筋肉はより強く作り替えられていきます。
そのため、筋トレやスポーツに取り組む方は、運動をしない方に比べて多くのタンパク質を必要とします。しかし、食事だけで十分な量を摂ろうとすると、脂質やカロリーの摂りすぎにつながりやすいという側面もあります。プロテインは、余分な脂質やカロリーを抑えながら効率よくタンパク質を補給できる手段として活用されています。
一方で、「体に必要だから多ければ多いほど良い」というわけではありません。ここからは、摂取量が多くなった場合に内臓へどのような影響があるのか、研究データをもとに詳しくみていきます。
腎臓への影響
タンパク質を摂取すると、体内で代謝される過程で尿素や窒素化合物といった老廃物が生成されます。これらを体外に排泄するために、腎臓の働きが活発になる仕組みです。
現時点で発表されている研究では、健康な腎機能を持つ成人において、次のような見解が示されています。
- 高タンパク食によってGFR(糸球体濾過量:腎臓のろ過機能を示す指標)は一時的に増加するが、それによって腎機能障害が起こるという証拠は確認されていない
- 多くの研究における観察期間は、数週間〜2年程度にとどまる
- 10年以上という長期間、体重1kgあたり2.5〜3.0gを超える量を、水分摂取が不足した状態で摂り続けた場合の安全性については、十分に検証されていない
つまり「短期〜中期的にみて、健康な人が高タンパク食を摂ること自体が腎臓に悪影響を及ぼすという明確な根拠は乏しい」というのが、現時点での科学的な見解です。ただし、長期間・大量摂取についてはまだ研究が追いついていない部分もあるため、「摂れば摂るほど良い」というわけではない点は覚えておく必要があります。
肝臓への影響
肝機能に異常がみられない方であれば、タンパク質摂取量が多少増えても大きな問題は起こりにくいとされています。
健康なアスリートや筋トレ愛好家を対象とした研究では、体重1kgあたり2.0〜3.4gという、一般的な推奨量を大きく上回るタンパク質摂取を1年以上継続した場合でも、AST・ALTといった肝機能マーカーの悪化はほとんど認められませんでした。
これらの結果から、健康な方が日常的な範囲でプロテインを活用する分には、肝臓への影響を過度に心配する必要は少ないと考えられます。
消化器への影響
腹部膨満感、お腹にガスが溜まる感じ、下痢、便秘といった症状を訴える方もいます。これらの症状は、タンパク質そのものが直接の原因というよりも、タンパク質を多く含む食品やサプリメントの摂り方に起因しているケースがほとんどです。
このような症状が出た場合は、次のような原因を疑ってみてください。
- 1回あたりの摂取量が多すぎる
- 甘味料の影響(体質によっては腸内で発酵し、ガスや膨満感の原因になることがある)
- 乳糖不耐症(ホエイプロテインに含まれる乳糖が原因になる場合がある)
- 食物繊維の摂取不足(タンパク質を多量に摂取すると相対的に食物繊維が不足し、腸内の悪玉菌が増えやすくなる)
思い当たる原因がある場合は、1回あたりの摂取量を減らす、種類を変える(ホエイからソイやカゼインに変更するなど)、野菜や海藻などで食物繊維を補うといった対策で改善することが多いです。症状が続く場合は、自己判断せず医療機関に相談しましょう。
プロテインの種類による消化への影響の違い
一口に「プロテイン」といっても、原料によって特徴が異なり、消化器への影響の出方も変わってきます。
- ホエイプロテイン:牛乳由来で吸収が速く、トレーニング直後の摂取に向いていますが、乳糖を含むため乳糖不耐症の方はお腹の張りや下痢を起こしやすい傾向があります
- ソイ(大豆)プロテイン:植物性で乳糖を含まないため、乳糖不耐症の方でも比較的摂取しやすいのが特徴です。吸収スピードはホエイよりゆるやかです
- カゼインプロテイン:同じく牛乳由来ですが吸収がゆっくりのため腹持ちが良く、就寝前の摂取に向いています。ホエイと同様、乳糖には注意が必要です
「ホエイプロテインを飲むとお腹の調子が悪くなる」という場合は、乳糖不耐症の可能性が考えられるため、WPI(乳糖をほとんど含まない製法のホエイ)やソイプロテインへの切り替えを検討してみると良いでしょう。

注意が必要な状態
健康な方であれば過度な心配は不要な一方で、次のような状態にある方は、タンパク質摂取量について特に注意が必要です。
- 腎疾患:慢性腎臓病、糖尿病性腎症、腎機能低下がある方
- 肝疾患:肝硬変、肝性脳症などがある方
- 尿路結石:尿中カルシウムや尿酸値が高い方
- 妊娠中・授乳中の方:妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群のリスク、製品に含まれる栄養素の過剰摂取のリスク、授乳への影響(乳腺のつまりや乳腺炎など)が懸念される
これらに該当する方は、自己判断でプロテインを摂取するのではなく、必ず医師や管理栄養士に相談したうえで摂取について検討してください。
タンパク質摂取の推奨量
「では、実際どのくらい摂取すればよいのか」という疑問にお答えします。
筋力トレーニングを行う方の場合、体重1kgあたり1.4〜2.0gのタンパク質摂取が国際的に広く推奨されています。
筋肥大(筋肉を大きくすること)を目的とする場合、効果は体重1kgあたり1.6g前後で頭打ちになりやすく、上限の目安は2.2g前後とされています。それ以上摂取量を増やしても、筋肥大効果が比例して高まるわけではありません。
一方、ダイエット中は筋タンパク質の分解が進みやすいため、通常よりも多めのタンパク質摂取が推奨されます。除脂肪体重(体重から体脂肪量を除いた値)1kgあたり2.3〜3.1gの摂取が、筋肉量の維持に有効である可能性が示されています。
※ダイエット中の数値のみ、体重ではなく除脂肪体重あたりの推奨値である点にご注意ください。
内臓に負担をかけずにプロテインを取り入れるポイント

ここまでの内容をふまえ、内臓への負担をできるだけ抑えながらプロテインを活用するための、実践的なポイントをまとめます。
①「補う」意識で摂取する プロテインはあくまで「食事で不足しがちなタンパク質を補う食品」です。食事から十分なタンパク質を摂れている場合は、無理にプロテインの量を増やす必要はありません。
②1回の摂取量を分散させる 一度に大量のタンパク質を摂取すると、消化器への負担が大きくなりやすくなります。1日の摂取量を2〜4回程度に分けて摂ることで、消化吸収の負担を抑えながら効率よく活用できます。
③水分をしっかり摂る タンパク質の代謝には水分が必要です。プロテインを日常的に摂取している方は、意識的に水分補給を行いましょう。
④食物繊維とバランスよく組み合わせる 野菜、海藻、きのこ、豆類などの食物繊維が豊富な食品と組み合わせることで、腸内環境を整えながらタンパク質を摂取できます。
⑤持病がある場合は必ず専門家に相談する 前述のとおり、腎疾患・肝疾患・尿路結石、妊娠中や授乳中の方は、自己判断せず医師や管理栄養士の指導のもとで摂取を検討してください。
⑥摂取するタイミングを工夫する トレーニング直後や就寝前など、目的に応じて摂取タイミングを使い分けることも、体への負担を抑えながら効果的にタンパク質を活用するポイントの一つです。空腹の状態で一気に大量摂取するよりも、食事の一部として無理なく取り入れる方が、消化器への負担も少なくなります。
よくある質問
Q. プロテインを飲みすぎると腎臓や肝臓の数値が悪くなりますか?
A. 健康な方が推奨量の範囲内、あるいはそれをやや超える程度で摂取している分には、現時点で腎機能・肝機能の悪化を示す強いエビデンスはありません。ただし、極端な多量摂取を長期間続けた場合の安全性は十分に検証されていないため、注意は必要です。
Q. プロテインは毎日飲んでも大丈夫ですか?
A. 健康な方であれば、推奨される摂取量の範囲内で毎日摂取しても問題ないと考えられています。トレーニングを行わない日でも、体づくりのためにタンパク質は必要です。
Q. お腹の調子が悪くなるのはなぜですか?
A. 前述のとおり、1回あたりの摂取量、甘味料、乳糖、食物繊維不足などが主な原因として考えられます。原因を一つずつ確認しながら、摂取方法を見直してみましょう。
Q. 植物性プロテイン(ソイ)なら内臓への影響はありませんか?
A. ソイプロテインだからといって、内臓への影響が完全にゼロになるわけではありません。ただし乳糖を含まないため、乳糖不耐症による消化器症状は出にくいという特徴があります。持病がある方は、原料の種類にかかわらず医師に相談したうえで摂取量を検討してください。
まとめ
プロテイン摂取と内臓への影響について解説しました。
- プロテインそのものが体に悪いわけではないが、過剰摂取は状況によって内臓に負担をかける可能性がある
- 健康な方であれば、推奨範囲内の摂取で重大な臓器障害が起こるという強いエビデンスはない
- 腎疾患、肝疾患、尿路結石、妊娠中や授乳中の方は、必ず医師や管理栄養士に相談したうえで摂取を検討する
- タンパク質摂取量の目安は、筋力トレーニングを行う方で体重1kgあたり1.4〜2.0g、ダイエット中は除脂肪体重1kgあたり2.3〜3.1g程度
プロテインは「足りない分を補う」食品として、正しい知識のもとで活用することが大切です。ご自身の食事内容やトレーニング内容、体調に合わせた摂取量については、専門家に相談しながら決めていくことをおすすめします。
Dr.トレーニングでは、お客様一人ひとりの体質やトレーニング内容に合わせた食事・栄養指導も行っています。プロテインの摂取量や摂り方について迷ったときは、ぜひ無料カウンセリング、体験トレーニングをご利用ください。
【著者情報】
東田 雄輔
– 資格
・NSCA-CPT(全米エクササイズ&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)
・JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者)
・NASM-PES(全米スポーツ医学協会認定パフォーマンス向上スペシャリスト)
・NASM-GFS (全米スポーツ医学アカデミー認定ゴルフフィットネススペシャリスト)
・IASTM SMART TOOLs
・PRI Postural Respiration 修了
・PRI Pelvis Restoration 修了
・PHI pilates act
https://drtraining.jp/cast/higashida/
参考文献
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