2024.06.28

妊娠中のダイエットはNG?痩せすぎ、太りすぎをを押さえる正しい方法

 

Dr.トレーニングは、メディカルパーソナルジムとして【マタニティトレーニング】をもっと広めていきたいと考えております。
女性であれば誰しもが思う「母子ともに健康で元気な赤ちゃんを産みたい!」という願いに最大限寄り添ってトレーニングを提供しております。
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今回の記事はマタニティトレーニングにおいて圧倒的な臨床経験を誇る、Dr.トレーニングのマタニティに関連する記事となります。

 

こんにちは!
Dr.トレーニング マタニティトレーニング事業部責任者、青柳です!

今回は、妊娠中のダイエットというテーマについて、お客様の声と科学的根拠も交えて解説をします。

 妊娠中に体重が増えすぎて困っているので、どうにか対策をしたい…
マタニティトレーニングを希望するお客様から多く寄せられるご希望ですが、
妊娠中は「痩せるための」ダイエットはおすすめできない
・妊婦さんは、適正な体重増加を目的とした管理(ダイエット)を意識する
・産後ダイエットの成功とお子様の健康を守るために、妊娠中から生活習慣を整える

これら3つを前提として、具体的なアドバイスを差し上げています。

 

妊婦にダイエットはアリかナシか

妊娠中の体重増加は避けられないことであり、医師からも妊婦健診の際に必ずチェックされることです。
妊娠中に痩せるためのダイエットはおすすめができませんが、トレーナーの立場でお客様へ伝えていることが3つあります。 

1.ご自身やお子様の健康状態に関して特別に医師から言われていなければ、体重の増減に関して過度に意識する必要はない

2.妊娠中は体重だけではなく、体脂肪率や筋肉量も定期的に測定しておくと、妊娠周期が進んでも適切な体重増のペースを維持しやすくなる

3.妊娠さんは体重が増えるからと諦めるのではなく、健康管理のために食事・睡眠・運動の習慣を見直すことで、過度な体重増加を防ぐことができる

多くの妊婦健診では、体重増減の結果も踏まえて、医師からのアドバイスがあるかと思いますが、『妊婦健診のときに、体重のことできつい言葉をかけられてイラッとした』
という話をお客様から少なからず聞きます。

 医師が体重の推移を意識することには明確な理由があり、妊婦さんの体格に合わせた体重増の適正値を維持することで、母子の健康に対するメリットが大きいことが挙げられます。

 しかし、妊婦さんの立場も考えると、体重増の内容まで意識したアドバイスができると良いと思うことがあります。

 Dr.トレーニングでは、妊娠中も体組成計※1を用いての体重管理を実施しています。
ここで見ていく数値は体重だけではなく、
・BMI(肥満度を示し、妊娠中の体重増の適正値に影響する)
・体脂肪率(体重に対する体脂肪の割合)
・筋肉量(体重に対する主に骨格筋の割合)
を、毎回のトレーニング時に確認しています。

お客様の満足度と妊娠中・産後の健康状態から判断した、妊娠中の理想的な数値の変化は以下のようになります。

体脂肪率:
トレーニング開始妊娠週数から妊娠40週までの体脂肪率増加の目標数値
(お客様の体組成データより設定)

12-27週:+5-9%以内
28-32週:+3-5%以内
33週以降:+3%以内

初回測定の数値から右肩上がりではなく、一時期に低下もしくは微増、出産直前で増加

例:妊娠中期→後期→臨月以降(30%→28-31%→32-35%)

※生体インピーダンス法(弊社ではIn-Bodyを採用)の特性上、子宮の中(正確には羊膜内の胎児、羊水、臍帯など)に含まれるものは、体脂肪率として計測されるため、結果がお客様自身の数値よりも高く出てしまいます。

※In-Bodyの詳しい解説はこちら
https://inbody.co.jp/prenatal-bodycomp-monitoring/

 

 

妊娠中の適切な体重の変動について

「妊娠中の体重増をなるべく抑えたい」
という要望がありますが、妊娠中に体重が増えやすくなるのにはきちんと理由があります。それは、お子様の健康のため、妊娠中・産後に妊婦さん自身が健康である必要があるからです。

妊娠中の体の仕組みとして、主に女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が、妊婦さんの体内に水分と脂肪を蓄積させる働きをします。

妊娠中の適度な体重増が、胎児の発育に大きく関わりますが、「妊娠中に自分の体重が過去最大の数値になって不安」という声もあります。

このような不安をお持ちの方は、「分娩の経過により出産直後には平均で5kg体重が減るので、過度な心配は必要ない」と思ってください。

Dr.トレーニングでは、お客様へ体重管理に関してのアドバイスをする際に、産婦人科診療ガイドラインで示されている妊婦さんのBMI※2からみた、体重増の指標を基準としています。

妊娠中の体重増加指導の目安  [1] [2]

BMI 18.5未満(低体重):12-15kg
BMI 18.5以上25未満 (普通体重):10-13kg
BMI 25以上30未満 (肥満1度):7-10kg
BMI 30以上 (肥満2度):5kg以下 

妊婦健診で母子の健康状態・発育に異常がないと医師から言われていれば、お客様へ提案をする体重増の目標数値は“7-10kg以内”とすることが多いです。この数値は、お子様の健康を守りつつ、お客様が産後の育児、そしてダイエットや体型戻しを成功させやすい体重増の目安となります。

 また、妊娠中の体重増加に関して指導が厳しくなる理由もここでお話します。

 妊娠中に体重があまり増えないことでのデメリット[3](特に低体重の妊婦さんの場合)
・切迫早産
・早産
低体重児の出産

 妊婦で体重が増えすぎることでのデメリット [4](特に肥満の妊婦さんの場合)
・妊娠高血圧症候群
・妊娠糖尿病
・巨大児の出産
・帝王切開
・異常分娩

 妊娠中に体重管理をしないことによる、過度・過小な体重増には、上記の問題だけではなく、お子様の将来の健康に対して、以下のリスクを向上させてしまいます…

 低体重での出生 [5]
・自閉症
・高血圧症
・慢性腎臓病 など

 巨大児での出生 [6]
・肥満
・2型糖尿病 など

 さらに、産後のお客様のほとんどが気にする、ダイエット、体型戻しやボディメイクが思った通りに進まない、といった悩みの原因となってしまいます…

 ここまで、妊娠さんが体格に合わせた適正な体重増をする重要性についてお話しましたが、次にトレーナー目線で体重管理のコツを解説していきます。

 

妊婦さんにおすすめの運動と食事

妊娠中に体重管理が必要な理由をお話しましたが、次は運動と食事について解説します。

マタニティ期間中におすすめの運動

1.ウォーキング:
運動経験・体力レベルを問わず、有酸素運動として取り入れていただきたいです。1日あたりの通勤や用事の際に、7000歩(健康を保つために推奨される歩数 [8])を目標にしてみてください。

2.筋力トレーニング:
出産・産後に必要な体力を付けたり、育児に必要な基礎動作を学ぶために有効です。妊娠中に気になる腰回り、二の腕、背中などを効果的に引き締めることができます

3.ヨガ・ピラティス:
安産のための呼吸を介した自律神経の調整(リラックス効果、陣痛のコントロールなど)、体に負担がかかりづらい姿勢を作るための筋力・柔軟性を養う効果が期待できます。

マタニティ期間中におすすめの食事法

1.ベジファースト:
妊娠糖尿病/高血圧症候群や肥満への対策としておすすめできます。主食となる米・小麦製品は糖質を多く含むので、食事の始めに食べると血糖値を急上昇させる原因になります。それを防ぐために、副菜(野菜、海藻・きのこ類を多く含むもの)始めに食べ、次に主菜(肉、魚、豆類などタンパク源)、最後に主食という順番で食べてみましょう。

2.分食:
つわり症状で三食がまとめて摂れなかったり、妊娠糖尿病の対策として有効です。日常生活で血糖値の急激な上下をさせないことで、倦怠感を覚えづらく、空腹感と食欲を抑える効果も期待できます。

3.レコーディング:
食事管理の評価はついつい甘くなりがちですが、スマホアプリで使える食事記録管理のアプリは、栄養バランスや摂取カロリーを適正に管理するために良いです。あすけんアプリやカロミルは使いやすいのでおすすめです!

 

妊娠中におすすめのダイエット  

繰り返しとはなりますが、妊娠中におすすめしているのは、減量を目的としたダイエットではなく、体重管理(=適正な体重増を維持する、体脂肪率の変化にフォーカスしたダイエット)です。

 ここでは、実際のお客様とトレーナーのやりとりを例としてまとめてみました。※3

  Aさん:体重増のペースについて
妊娠23週。1週間あたりの体重増の平均300g程度だが、ある1週間だけ1.5kgの体重増だった。話を聞いてみると、この週は旅行に出かけていて外食が多く食べ過ぎてしまった。

 – アドバイス
もしかすると妊婦健診で、体重が増え過ぎとキツく言われてしまったかもしれませんが、あまり気にしないでください!
健診は月1回かと思いますが、トレーニングでは週1回の測定をしているので、Aさんの体重増に関して、おおよそのペースは把握できています。

 むしろ、増えてしまった原因が明確なので、正月太りと同じでこの1-2週間で食事の内容を普段通りに戻すこと、1週間後の測定した時の体重は、今回と同じ値をキープ・もしくは300g程度減っていることを目安にしましょう…

 Bさん:体脂肪率の増加について
妊娠20週。食べづわりで想定以上に体脂肪率が上がってしまい(36%)、このペースで増えてしまうことへの危機感を持っている。妊娠初期は乳製品が食べやすく、現在も乳製品を毎食必ず摂っている。さらに運動初心者で、妊娠中に何が運動としてできるかわからず不安…

 – アドバイス
妊娠中に食の好き嫌いが変化してしまうことは珍しくありません。食べづわりによって、特定の品目しか食べられない期間が続くと、その習慣が安定期から産後まで継続してしまうこと(偏食)も懸念されます。
現状では、乳製品からの脂質の摂取が多過ぎるので、まずは3食のうちのどこかで1食で乳製品と摂らない、同じ脂質でも肉、魚、植物油(良質なオリーブ、亜麻仁油など)、ナッツから摂る、といったことから始めてみましょう。

また、運動に関しては、まず週1回の筋力トレーニングで妊娠中・出産から産後まで必要な体力を付けていくのと、体脂肪率を落とすために、週2-3日はウォーキング(通勤や買い物での徒歩移動も含む)を30分以上行うことを習慣にできればベストです。

トレーニング開始時に妊娠中期で体脂肪率30%以上の方でも、そこから3-4ヶ月間の体脂肪率が初回の数値をオーバーしなかったケースも多いです。

 

Dr.トレーニングマタニティが妊娠中の身体と体重の管理をサポート!

Dr.トレーニングでは、
1.体組成計の測定結果を評価
2.お客様から運動・食事・休養の習慣について伺う
3.具体的な行動と目標を提案する
といった流れで、お客様に寄り添ったサービスを提供しています。

 マタニティ・産後のトレーニングにお客様から多く寄せられるご要望が、
・自分に合った体重管理の方法を知る
・体力を向上させる
・心・体のトラブルを軽減する・防ぐ
・体型を戻す・より良くする
これら4つとなります。

また、妊活・妊娠中のお客様に必ずお伝えしていることが、
『産後の数ヶ月で心も身体も整っているということはほぼ無く、むしろ出産から育児という過程で体調が崩れてしまうことが圧倒的に多い』
ということです。

 このような前提があるので、何かをがんばって向上させるというアプローチだけではなく、普段からコンディションを下げないような工夫を、お客様の生活スタイルに合わせて実践していくことが、最も確実に結果を出すための考え方です。

 

妊娠中の体重管理、産後の体型戻しのために、運動・筋トレに取り組むことはメリットが多いのですが、ダイエット願望が強すぎる場合、

妊娠前からダイエット願望が強いと、妊娠中に過度な体重増になりやすい [7]

過去にダイエット経験があって、目標を『体重を減らす』ことにフォーカスした場合は、体重が産前の状態に戻りづらい [7]
ということにもなりかねません…

これから妊活を予定している方、マタニティトレーニングで妊娠中・産後を楽に過ごしたい方は、ぜひ無理のない生活習慣を考えていただきたいです!

 

Dr.トレーニングは関東22店舗と関西5店舗で、筋力トレーニングだけではなく、妊婦さんのご希望や目的に合わせた、運動・食事・休養の方法を提案しています。

体重・体調の管理でお困りごとがある方は、経験と知識があるトレーナーにぜひご相談いただきたいです。

お問い合わせ

 

 https://drtraining.jp/maternity_lp/

【筆者プロフィール】

Dr.トレーニング|マタニティ事業部責任者
青柳 陽祐

【学歴】
ラッセル大学 アスレティックトレーニング&スポーツサイエンス学部 ATC学科

【職歴】
慶應義塾大学医歯薬学部ラグビー部
東京健康科学専門学校 非常勤講師
コモゴルファーズアカデミー

【資格】
NATA-ATC(全米アスレティックトレーナーズ協会認定トレーナー)

 

注釈: 

※1 生体インピーダンス法による測定。一部の禁忌を除き、妊婦を対象とした研究でも用いられている手法
※2 BMIは身長(cm)÷体重(kg)2で求められる。日本肥満学会の判定が基準
※3 以降のやりとりは、医師から母子の健康・発育の状態に異常がなく、運動を実施しても問題がない妊婦さんへのアドバイスとなります

 参考資料・文献:

 [1] 産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2020 公益社団法人日本産科婦人科学会、公益社団法人日本産婦人科医会
[2]  表 肥満度分類 日本肥満学会
[3] 野村恭子, 児玉浩子, & 木戸道子. (2018). 妊娠適齢期の女性の栄養問題と妊娠中の適正体重. 日本衛生学雑誌, 73(1), 85-89.
[4] 杉浦惠子, & 横山芳子. (2016). 妊娠中の体重増加に影響を与える要因. 松本短期大学研究紀要, (25), 73-78.
[5] Clayton, P. E., Cianfarani, S., Czernichow, P., Johannsson, G., Rapaport, R., & Rogol, A. S. O. J. (2007). Management of the child born small for gestational age through to adulthood: a consensus statement of the International Societies of Pediatric Endocrinology and the Growth Hormone Research Society. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 92(3), 804-810.
[6] Johnsson IW, Haglund B, Ahlsson F, Gustafsson J. A high birth weight is associated with increased risk of type 2 diabetes and obesity. Pediatr Obes. 2015 Apr;10(2):77-83. doi: 10.1111/ijpo.230. Epub 2014 Jun 11. PMID: 24916852.
[7] 倉嶋優希, and 白石三恵. “妊娠前または妊娠中のボディイメージと妊娠中の体重増加量の関連に関する系統的レビュー.” 日本助産学会誌 33.2 (2019): 117-127.
[8] Paluch, A. E., Gabriel, K. P., Fulton, J. E., Lewis, C. E., Schreiner, P. J., Sternfeld, B., … & Carnethon, M. R. (2021). Steps per day and all-cause mortality in middle-aged adults in the coronary artery risk development in young adults study. JAMA Network Open, 4(9), e2124516-e2124516.

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