2022.02.07

マタニティエクササイズ(マタニティビクス)とは?妊娠中に自宅でできる運動

 

妊婦さんにおすすめのマタニティエクササイズとは?

 

 

マタニティエクササイズとは?概要と種類

マタニティエクササイズは、妊娠中・出産〜産後の女性とお子さんの健康を守るために、妊婦さんが安心・快適に実施できる運動です。

主なマタニティエクササイズを紹介すると…

・ウォーキング
・ジョギング・ランニング
・スイミング
・マタニティビクス
・カーディオマシン(固定式バイク、ランニングマシン、ステップマシンなど)
・ラケットスポーツ(テニスなど)
・マタニティトレーニング
・マタニティヨガ・ピラティス
・簡単なストレッチ・体操(最適な方法は、トレーナーに提案してもらうとベスト)

上記の運動は、多くのの妊婦さんにとって実施しやすいものです。

ここに書かれていないエクササイズでも、妊娠中に実施できるものはありますが、必ず運動開始前に担当のお医者様から、妊娠の経過に関する診断・処置を受け、開始の許可を得ている状態であることを守ってください。

 

マタニティエクササイズ、それぞれの特徴は?

妊婦さんが行う運動を選ぶときは、それぞれのメリットを知っておくと良いです。

弊社Dr.トレーニングでは、マタニティエクササイズを、目的に応じて3つに分けています。

 

⭐︎有酸素運動(体力アップ)

ウォーキング、ジョギング・ランニング、スイミング、マタニティビクス、カーディオマシン、ラケットスポーツ

 

⭐︎ストレングス(筋力アップ、姿勢改善)

マタニティトレーニング

 

⭐︎コンディショニング(心身の調子を整える)

マタニティヨガ・ピラティス、簡単なストレッチ・体操

 

理想的には、目的の異なったマタニティエクササイズを2〜3種類、組み合わせて実施できればベストです。

何から始めれば良いのか迷ってしまったときは、下記のアドバイス3つを参考にしてください。

 

・自分にとって一番なじみがあってやりやすそう、好きな運動を選ぶ

・体力・運動経験に自身がない方は、ウォーキングから(どこかへ行くついでに、少し長く歩くことでもOK!)

・運動の頻度は、週1回から毎日実施しても大丈夫。1回の継続時間は、15〜60分を目安にする。

 

 

マタニティエクササイズは妊婦さんにはどんな効果がある?妊娠中のメリット

マタニティエクササイズを行うことで期待できる効果はたくさんあります。

実は、妊婦さんに多いお悩みについては、運動習慣を身につけることで解決できるものも多いです!

出産・産後に向けての体力アップ

妊活期間を終えて妊娠中、出産・産後と、女性の心身の状態は目まぐるしく変化をします。

「〇〇をすれば全てうまくいく」という決まりはありませんが、そんな中でも妊婦さん・お母さんには、健康で元気に過ごしてもらいたいものです。

妊娠してから息があがりやすく、疲れやすくなった…

赤ちゃんの出産は、安産であってほしい!

産後は授乳や抱っこなど、育児があってよく眠れない…
マタニティエクササイズを習慣にしている方のお話を伺うと、これらで深刻に悩むということは少ないようです。

 

肩こり・腰痛、冷え性などの改善

妊娠週数が進むにつれてお腹や胸が大きくなると、快適な姿勢を維持することが難しくなり、肩こり・腰痛の原因となることがあります。
体の冷えも妊婦さんにとって、多い悩みではないでしょうか…

また、産後の授乳や抱っこも、絶対に避けることができないものです。

妊娠前から体力に自信のあった方でも、育児によって首・肩・腰の不調を感じることが増えてしまいます。

産後の子育てで時間・体力の余裕がなくなる時期、妊娠中、できれば妊娠を考える前から、自身の体を整えておけば、これらの不調に悩まされることも少なくなります。

 

妊娠中の適正な体重増加を促す

妊娠中に体重が増え過ぎないかどうか心配な方も多いと思います。
この期間で増える体重は、10~13kg(BMIで標準とされる場合)が目安となり、過度なダイエットや筋肉量を大幅に増やすような、運動・食事はおすすめできません。

妊娠中の体重増は、出産時と産後のお子さんの健康にも影響があります。

マタニティエクササイズが習慣になることで、運動によるカロリー消費の増加だけではなく、生活習慣(運動、食事、休養)に対する意識が変化したという方は非常に多いです。

また、産後も運動を習慣にすることで、妊娠前の体重・体型戻しに役立つという声もよく聞かれます。

 

マタニティエクササイズを始めるのはいつから?臨月でもできる?

 

妊娠初期(15週まで)

初期はつわりの症状で体調が優れなかったり、安定期に入るまではお腹の中にいる赤ちゃんのことが心配、と思う妊婦さんも少なくありません。

Dr.トレーニングでは、妊娠12週からマタニティエクサイズの指導を実施していますが、本格的には16週からとすることが多いです。

妊娠初期で仕事・家事など、妊娠前と変わらない生活をしている方も多いかと思います。

自宅、通勤電車やオフィスなど限られた空間に長くいること、思ったように運動や食事ができなかったりすることで、ストレスを感じることも珍しくありません。

 

この時期はストレスと運動不足解消のため、気軽に散歩(ウォーキング)から始めてみることをおすすめします。

近くの公園など自然の多い場所、自分の好きな場所へ出かけるときに、自分の足で歩いて行くだけでもリフレッシュになります。

体力に自信のないときは、マタニティヨガ・ピラティスや簡単なストレッチ・体操もおすすめできます。

体調が安定しない時期は、体とこころに向き合う時間を取って、自分自身と赤ちゃんのことを労るように心がけたいです。

 

妊娠中期(16〜27週)

妊娠中期は以前から続けてきたマタニティエクササイズを継続しながら、自分の好きな有酸素運動に加えて、マタニティトレーニングも実施することをおすすめします。

安定期に入り体調も落ち着くので、本格的に運動を開始したいのですが、妊娠をしてから姿勢や体の重心が変化して、動きづらくなっている方が多いです。

まずは、妊娠中に大きくなるお腹と体重を支えるための、骨盤周りと肩甲骨周りの関節・筋肉を優先して動かします。

また、この時期から妊娠後期と出産〜産後までも見据えて、体力向上と負担が少ない体の動かし方を意識すると良いです。

 

理由は、妊娠後期以降だと体の動きが制限され、腰痛・肩こりやマイナートラブルに悩み始めてから、マタニティエクササイズを開始しても、思ったような効果を実感しづらいためです。

調子が良い時期から、その後に起こる変化に備えておけば、不調で困ることが少なくなると考えてください。

 

妊娠後期(28週〜40週前後)

妊娠後期(特に妊娠32週・9ヶ月以降)からは、妊婦さんの体つきの変化がわかりやすい時期となります。

お腹が大きくなるにつれて、お腹や股関節周囲を動かすことがしづらいという悩みもでてきます。

マタニティエクササイズでも、仰向けの姿勢、素早く動く、しゃがみ込む、体をひねる、バランスを保つなどの運動中に、お腹の張り・違和感、不安を感じるものはおすすめできません。

 

ただ、同じ運動でも妊婦さんによって感じ方は全く違うので、トレーナーなどに相談してから試してみるのも良いです。

妊娠後期のマタニティトレーニングだと、お腹の大きさに影響を受けづらい上半身のエクササイズを多めにして、産後の抱っこや授乳に備えた負荷のかからない動き方を覚えてもらうことが多いです。

お医者様の考えにもよりますが、出産予定日が近づいたときに、安産のためにどんどん動いた方が良いとアドバイスを受ける妊婦さんもいますので、そんな時はぜひ近くのトレーナーやインストラクターに頼ってもらいたいです。

 

マタニティエクササイズの注意点・気を付けたい運動は?

ここでは一般的な屋内・屋外で行うマタニティエクササイズで、妊娠中は避けるべき運動をお伝えします。

・炎天下や高温多湿な室内での運動
・急な加速・減速、ジャンプ・着地を含む運動
・腹部へ不規則・過度な衝撃や圧力がかかる運動
・うつ伏せの姿勢を取る運動
・全力を使って呼吸が止まる運動
・運動中の会話が困難、呼吸が乱れる運動

このようになります。

加えて、Dr.トレーニングでは妊婦さんが不安・不快に思い、目的に疑問を持っているエクササイズは、おすすめしていません。

『お母さんが不安・不快なことは、赤ちゃんにとっても同じ』

『マタニティエクササイズをただやるだけでは、妊婦さんが望んでいる効果は期待できない』

という考えから、このような基準も定めています。

 

マタニティエクササイズで注意するポイント

マタニティエクササイズが妊婦さんにとって安全・快適なものであるために、注意すべきポイントもいくつかあります。

 

✅ 仰向けのエクササイズで不快感を感じる妊婦さんもいる

赤ちゃんの発育によりお腹の重さが増えた状態で仰臥位(あおむけ)になると、腰付近にある、心臓へ血液を送る血管が圧迫され、全身への血液の流れが悪くなることで、気分が悪くなったり、脳貧血などが起こることがあります。

これは、仰臥位低血圧症候群によって引き起こされ、妊娠中には仰向けで夜に寝づらいと言われる原因の一つとも考えられます。

仰向けを含むマタニティエクササイズを行うときは、

『右肩を上にして寝ると、症状が改善される場合が多い』

『仰向け中で腰周りに不快感を感じたときは、すぐに教えてもらうよう妊婦さんに伝える』

これらを覚えておくと良いです。

✅ 腹筋運動に不安を持っている妊婦さんが多い

妊婦さんも腹筋運動はでき、妊娠中に腹筋が減ることが原因での不調を防ぐため、基本的にはおすすめをしていますが、

腹直筋離開(腹筋が中心から横に割れている・広がっている状態)の診断・疑い

産後で帝王切開の傷を気にしている

過度の腰や骨盤の痛み

このようなことがあれば、まず産婦人科医、治療家、理学療法士へ相談してみることをおすすめします。

 

不安を持ったままのマタニティエクササイズは、妊婦さんにも赤ちゃんにもメリットが少ないです。

ぜひその目的・目標を明確にして、安全・快適な指導をしてくれる、トレーナー・インストラクターさんを探してみてください。

 

無理せず効果的なマタニティエクササイズを行うコツ

妊娠中の運動を習慣にすると、妊婦さんにとってうれしい効果が期待できます。

ただ、母子の健康を守るためのマタニティエクササイズを考えると、体のケアも意識することが重要です。

マタニティエクササイズをより効果的にするポイントは下記になります。

 

コンディショニングと休養(睡眠)

有酸素運動やマタニティトレーニング後は、どうしても体の疲労が出てしまいます。

お家でのヨガ、ピラティス、ストレッチ、呼吸など、疲れた体を整える時間も作っていただきたいです。

仕事や家事、運動など張り切った日が続いたときは、しっかりと休みの日も確保してください。

また、妊娠中は睡眠の質・時間ともに悪くなりがちです。

快適に眠れる室内環境、就寝前のルーティン、寝具の見直し、など工夫できることはたくさんあります。

 

栄養補給

妊娠中は、運動後のリカバリーに必要なタンパク質、妊娠中に不足しがちなビタミン・ミネラルなど、必要な栄養素やその量が増えることが見込まれます。

また、妊娠中に食欲が増して体重管理が難しくなったり、好き嫌いが変化して偏食になりがち、という声もよく聞かれます。

バランスのいい食事を心がけつつ、マタニティエクササイズも習慣になると良いですね。

最近は直接、医師、栄養士、トレーナーに会えなくても、自宅でオンライン環境を使って、適切なアドバイスを受ける妊婦さんも増えているので、困ったときはぜひ専門家に頼ることを考えてみてください。

 

マタニティエクササイズのまとめ

マタニティエクササイズにはたくさんのメリットがあり、妊娠中や産後の悩みを解決するためのヒントが多くありますが、妊婦さんに適切な指導ができる施設は限られています。Dr.トレーニングは、『一瞬ではなく一生モノの体作り』をミッションとして、多くの妊活中、妊婦中から産後の女性をサポートしています。今後もすべての方が安心・快適なトレーニングができるジムを目指していきます。

 

妊娠中の急激な体の変化にとまどうこともありますが、マタニティエクササイズも含めてわからないことは私たちパーソナルトレーナーに聞いて不安を解消してくださいね!

 

 

【筆者プロフィール】

 

Dr.トレーニング|マタニティ事業部責任者

青柳 陽祐

 

【学歴】

ラッセル大学 アスレティックトレーニング&スポーツサイエンス学部 ATC学科

 

【職歴】

慶應義塾大学医歯薬学部ラグビー部

東京健康科学専門学校 非常勤講師

コモゴルファーズアカデミー

 

【資格】

NATA-ATC(全米アスレティックトレーナーズ協会認定トレーナー)

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