2024.02.14

「妊娠中の寝る姿勢・向き」について|妊婦さん向けコラム

こんにちは!
Dr.トレーニングマタニティ事業部責任者の青柳です。

 

今回は妊娠中の睡眠に関するご相談から、快適に睡眠を取るための姿勢についてお伝えし、快眠のためのポイントもいくつかご紹介します!

 

妊娠中の不眠の原因は?

「妊娠中に睡眠の時間や質が落ちて困っている…」

 これは不眠に当てはまり、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、早い時間に目が覚める、睡眠時間が満足に取れない、睡眠時間が十分でも熟睡できない状態も含まれます。

これらが週に2-3回以上、1ヶ月以上継続する場合は、不眠症や他の疾患が原因である可能性もあるため、医師に相談をしてください。

まずは妊娠中の不眠で、お客様から多く聞かれる要因をまとめました。

1.腰痛、首・肩こり
2.寝る姿勢が辛い
3.足がつる
4.胎動
5.頻尿

今回のメインテーマは、【妊娠中の寝る向き・姿勢】なので、上の1,2番について解説します。

 

妊娠中の寝る姿勢について

Dr.トレーニングでは「お客様自身がうつ伏せ、横向き、仰向け、シムス位など、快適に眠れる姿勢が選べ、適度に寝返りが打てる状態」になるようにアドバイスをしています。

シムス位とは、婦人科医のJ. Marion Sims氏が、泌尿器や生殖器の検査を実施する際に考案した体位のことです。[1]

 以下3つの条件に当てはまる姿勢が、シムス位となります。[2]

・左側臥位(左肩が下で横寝)
・左脚は伸ばす
・右脚は股関節と膝を曲げ、ベッドやクッションなどで位置を安定させる

 「なぜうつ伏せ、右横向き、仰向けではなく、“左”側臥位なのか?」となりますが、これは重要な点であり、シムス位が妊婦さんに推奨される理由は以下となります。

 ・妊娠中に仰向けでいると具合が悪くなる(仰臥位低血圧症候群)を防ぐため、下大静脈(ヒトの体で一番大きい静脈で、下半身から血液を集めて心臓へ送り込む役割があり、背骨を中心として体の右側を走行している)を圧迫しない体位である
・仰向けと比べて子宮・腹部の重さで腰を圧迫しづらく、腰痛になりづらい

ただシムス位は横寝の状態であるため、持続時間が長くなると下にしている左側の腕、腰や脚が圧迫されて痛くなる、というデメリットもあります。

 

ここでよく聞かれることが
「妊娠中は横寝がよく勧められるけど、うつ伏せや仰向け寝の姿勢は取って良いのか?」という質問です。

トレーナーとしての回答は、
「快適に眠れる姿勢だとご自身が感じれば問題はありません!ただし、うつ伏せ寝だと腹部を圧迫するため、特に妊娠中期以降になると、苦しく感じることが多くなります。そのため、横寝と仰向けが寝る姿勢のメインとなりますが、妊娠中の姿勢変化に応じた工夫をすることで、より快適になります」
というものです。

では、ここから【妊娠中の寝る姿勢と寝返りの工夫】を紹介します!

寝る姿勢のポイント2つ

・首や腰の下にタオルを入れて、ベッドと体の隙間をなくす 

・両膝を曲げ、膝から下をクッションなどで高く挙げておく

 

寝返りのポイント3つ

両膝を曲げて横に倒す

 

片膝・脚を横に蹴り出す

腕を膝と一緒に横へ伸ばす

個人差はありますが、一晩に寝返りを打つ回数は平均24回で、最も少なくて6回、多くて38回というデータもあります。[3]

妊娠中での快適に寝られる体位は一つだけではなく、複数あることが望ましいと思います。

特に就寝中の体のコリ、腰痛でお困りの方はお試しください!

 

妊娠中の睡眠で気をつけたいこと3つ

睡眠の質を上げることは、マタニティ期間中に元気で過ごし、産後の育児での体力・気力の低下を防ぐために大切なことです!

トレーナーとしてお客様へ伝えていることがいくつかあります…

 ① 朝は陽を浴びて、日中に適度な運動、夜は寝る2時間前には夕食を済ませる
(ヒトの覚醒や睡眠を司るホルモン- セロトニン・メラトニンの分泌、食後の血糖値を調整するインスリンの働きを適切にする[3]。妊娠糖尿病の対策としても有効。)

 ② 就寝前の入浴を習慣にする
(副交感神経が優位になりやすい、入浴の60分後を目安として就寝時間を調整すると、寝つきが良くなる[5])

 ③ 夜中に目覚めた時、必要に応じて水分補給とセルフケアができるように準備を整える
(特に足がつるときの対策として、水・スポーツドリンクを飲んだり、ハンドタオルやボールでのケアが有効です)

 

Dr.トレーニングが妊娠中の体調管理をサポート!

今回は妊娠中の寝る姿勢・向きと、睡眠で気をつけたいポイントをお伝えしました。
妊婦さんの睡眠は、生まれてくるお子様の健康にも影響します。

興味のある方は、こちら↓の記事をお読みください。

厚生労働省e-ヘルスネット:睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-003.html

東洋経済オンライン:親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題
https://toyokeizai.net/articles/-/417763

 

睡眠の質は生活習慣によって、良くも悪くも影響されます。
Dr.トレーニングは、妊婦さん、お子様とご家族の健康と幸せのため、妊娠中の睡眠を重要なものと考えております。

今回の記事では、個別の状況に応じた対策はお伝えが難しいため、より詳しく知りたい方は、ぜひカウンセリングや体験トレーニングを受けていただけるとうれしいです!

ドクタートレーニングの各店舗のお問い合わせはこちらから
https://drtraining.jp/contact/

 

【筆者プロフィール】

Dr.トレーニング|マタニティ事業部責任者
青柳 陽祐

【学歴】
ラッセル大学 アスレティックトレーニング&スポーツサイエンス学部 ATC学科

【職歴】
慶應義塾大学医歯薬学部ラグビー部
東京健康科学専門学校 非常勤講師
コモゴルファーズアカデミー

【資格】
NATA-ATC(全米アスレティックトレーナーズ協会認定トレーナー)

 

今回の参考文献 

[1] Carter, P. J., & Lewsen, S. (2005). Lippincott’s textbook for nursing assistants: a humanistic approach to caregiving. Lippincott Williams & Wilkins.

[2] Drake, W. M., & Hutchison, R. (2012). Hutchison’s Clinical Methods, An Integrated Approach to Clinical Practice With STUDENT CONSULT Online Access, 23: Hutchison’s Clinical Methods. Elsevier Health Sciences.

[3] 前田和平, 山口智史, 飯倉大貴, 島田祐里, 近藤国嗣, & 大高洋平. (2015). 健常者における睡眠中の寝返り回数と日間変動の検討. In 理学療法学 Supplement Vol. 42 Suppl. No. 2 (第 50 回日本理学療法学術大会 抄録集) (p. 1741). 日本理学療法士協会 (現 一般社団法人日本理学療法学会連合).

[4] Garaulet, M., Lopez-Minguez, J., Dashti, H. S., Vetter, C., Hernández-Martínez, A. M., Pérez-Ayala, M., … & Saxena, R. (2022). Interplay of dinner timing and MTNR1B type 2 diabetes risk variant on glucose tolerance and insulin secretion: a randomized crossover trial. Diabetes Care, 45(3), 512-519.

[5] 大平雅子, & 山田雄大. (2019). 運動後の入浴方法の違いが睡眠の質に及ぼす影響. 日本健康開発雑誌, 40, 31-38.

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